【就労B型 農福連携事例】耕作放棄地×障がい者就労、つくば市の2つの社会課題にチャレンジする ごきげんファーム 伊藤文弥さん

 筑波大学在学時に参加した政治家へのインターンをきっかけに、茨城県つくば市の社会課題である耕作放棄地×障がい者就労の課題に着目。NPO法人つくばアグリチャレンジを起業した伊藤文弥さんへインタビューしました。

 障がい者雇用では、単に収入を負うのではなく、地域や利用者の人生にとって良い生き方ができるような場所を提供しています。コミュニケーションのきっかけとしての農福連携の可能性や、お金以外の価値観についてお伝えできればと思います。

 

事業概要を教えてください


「障がいのある方が活躍できる農場 ごきげんファーム」

 約8ヘクタールの農地で約100種お野菜を栽培し、野菜セットの定期便、米と卵の生産販売をしています。

 障がい福祉施設としては3か所で、約100人の方が就労しています。半数が野菜セット関係で、農作業、袋詰めなど、他の農家さんへ派遣をしています。他にもお米と養鶏事業でも活躍してくれています。

ごきげんファームのごきげん野菜セット

 

起業した背景をおしえてください


「耕作放棄地×障がい者就労の2つの社会課題への対策」

 

 インターンシップ参加をきっかけに、現在のつくば市長の五十嵐 立青さん(2020年10月25日執行)の元で、社会課題の研究をすることになりました。そこで五十嵐さんから調べるように言われたものが、耕作放棄地と障がい者雇用の2つの問題です。

 つくば市は農業に力を入れており、農作物の輸出を仕掛けていたが、農家の高齢化が進み人手不足が深刻化していました。

 一方で、障がい者の方は、特別支援学校を卒業した後の就職先が少ない、就職できてもなかなか続かないことが分かり、雇用の場の創出が必要でした。

みんなで作った野菜セットをお届けしています

 

起業のきっかけを教えてください


「総理大臣になりたい。政治家インターンシップへの参加」

 

 高校三年生の時に、なりたい仕事は総理大臣と言ってました。もともと、小学3年生の時から学級代表、部活のキャプテンや生徒会長の経験があり、リーダーシップをとることは得意でした。伊藤家には、代表をすると5000円もらえるシステムがあって、私の兄も学級代表をしていた影響もあります。

 周囲に総理大臣になりたいと言っていたら、大学2年生の時にドットジェイピーというNPO法人が行っている、市議会議員のインターンシップを募集するチラシを友人が持ってきてくれました。また、そのNPOの代表は昔のバイト先にいた同級生がいて、スーツを着てかっこよく映ってました。それを見て、打ち込めるものを探したい、自分を変えたいと思って、インターンに参加しました。

インターンシップは2カ月なのですが、五十嵐からインターンの後も一緒にやらないかと誘ってくれました。五十嵐と一緒に活動を続け、そこで農業と福祉に関する理解を深め、五十嵐が団体を立ち上げる時に僕を副代表に誘ってくれたのがきっかけです。

 

ちなみに五十嵐市長の印象は?


 はじめはとても緊張しました。私の悪い所が多いですが、注意を受けることが多かったです。例えば、人の話を聞くときには口を閉じること、眉毛は細くしないこと、立ち方や歩き方、話し方に関しても注意をしていただきました。とても細かく、まっすぐな人です。インターンシップの一言紹介は、「情熱」でしたが、そのままの人でした。

 五十嵐はコーチングを仕事にしていたので、いつも質問をされるので、考える癖は本当についたと思います。インターンは2カ月なのですが、プログラムをおえる頃には成長を感じられて、楽しくなっていました。今でも、自分の働き方や生き方に非常にいい影響を与えてくれています。中でも、五十嵐がよく言っていた「不平・不満を言うのではなく、自分自身で状況を変えていくんだ。」という言葉は、今も苦しい時にはその言葉が蘇ってきます。

 それで、先述したように、五十嵐からインターンの後も一緒にやらないかと誘ってもらって、事業を具体化する中、文弥(私)が中心になってこの事業をやらないかと言ってもらいました。「一緒にやっていて楽しい」、だから一緒にやろうと言ってもらって、私も五十嵐とやりたいと思ったので、即答でOKを返事していました。もともとのカッコいい仕事と思っていたことはちょっと違うけど、五十嵐と一緒に仕事をしたいと強く思っていたのだと思います。

 

ごきげんファームで大事にしていることを教えてください


「障がいのある方が活躍できる農場 ごきげんファーム」

 ごきげんファームは「良い関係性で仕事をすること」を大事にしています。

 気持ちはいろいろな形で仕事に出ると思うんですよね。慣れないとき、ストレスが溜まっているとき、社員同士のいざこざなど。大きな仕事を終えた時も、すごい疲労感がでるのかすごい達成感になるのは、そういうところだと思います。社員さんも給与が低くてやめるのではなく、やりがいだったり充実感の方が大事だと感じています。

 社員との関係性をまずより良い状態に作って、それから利用者さんにも、活躍できるちゃんと良い関係をみんなで作っていきたいと思っています。

 また、関係性は、仕事の中だけではなく、地域にも広げています。地域イベントの参加や、農業体験を提供することで、地域と障がいのある方との接点を作っています。障がいのある人が地域で、ごきげんにあたり前に暮らし、働けるようにしていきたいと活動しています。

地域の人にも他の楽しんでいただける体験型の農園

 

これから参加される利用者の方へ一言お願いします


「工賃よりも、もっとごきげんに過ごしてもらえる場へ」

 もっと自分らしくいていいと思う。こういう風にしなきゃいけないとか、こういうのはだめだとかよく言われると思うのですが、そんなことない。もっと自分らしくはたらくことが大事、人として大事。生きていく意味を考えながら、一緒に働いていけたらいいのかなと思っています。

 工賃はすごく大事だと思いますけど、工賃を上げることにこだわっていなくて、もっとごきげんに過ごしてもらえる方が良いと思っています。少しでも共感いただける方、興味を持ってくれた方は是非、一度イベントなどに参加してください。

 

【インタビュー企業情報、お問い合わせ先】

 屋号                     : ごきげんファーム

 会社名                 :NPO法人つくばアグリチャレンジ

 住所                     :〒305-0043 茨城県つくば市大角豆2168−1

 ホームページ    :https://gokigenfarm.com/

 サービス内容    :

  就労継続支援B型の事業所として、野菜栽培・養鶏(卵)・米、竹製品、加工品などの生産と、コミュニティ農園の運営、など。インターネットなどを通じて一般消費者への特別栽培農産物、無添加加工食品など安全性に配慮した食品・食材の販売しています。また共同生活援助としてのグループホームも運営しています。

<お問い合わせ先>

 TEL                 :029-875-5660

 email               :support@gokigenfarm.org


【インタビューアー】

福祉バンク株式会社

東京都新宿区西新宿三丁目3番 13号 西新宿水間ビル6階

~障がい者の個性に合わせたオシゴトを~ 

TEL:03-6868-5725

Mail:shiraishi@fukushibank.co.jp

担当:白石直之

 


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当社の代表取締役 白石直之が一般社団法人日本福祉事業者協会さまよりインタビュー頂きました。